実は格差が起きている?東京都特別区の医療について

実は格差が起きている?東京都特別区の医療について

東京都の中核を担う23区、いわゆる特別区を1つの医療圏とみなすと、人口10万人あたりの病院勤務医数は389人と全国の中でも多いというデータが出ています。特別区には医学部の本院も12施設あり、日本でも最大の医療集積地といっていいでしょう。全国の手術の約9%は特別区で行われ、高度医療を受けるために神奈川、埼玉、千葉などの首都圏はもちろん日本全国から多くの患者が特別区に集まってきます。

東京の街並み

中でも5つの医学部の本院を抱える区中央部(中央区、港区、千代田区など)や3つの医学部の本院を抱える区西部(新宿区、中野区、杉並区)などは医師の数が多く、医療環境は充実しています。その一方で区東北部(足立区、葛飾区、荒川区)や区東部(墨田区、江東区、江戸川区)など医師の少ない医療圏があるのも実情です。特に東北部は中小の医療機関が多いものの医学部が存在せず、基幹病院と呼ばれる機関は2つしかありません。その結果、多くの患者が区中央部の大学病院や高機能病院を利用しています。確かに特別区内は交通の便がよく、自身の医療圏を超えて受診したとしてもたいして時間がかかりません。そのため、提供しているサービスの充実している医療機関に人が集まっています。

特別区内での格差を解消し、全体で医療サービスの底上げをはかることが出来れば1番いいのですが、まだそれが出来ていないのが現状です。ただ、格差解消のために中央部に比べて給料を上げる、働きやすくするなどの待遇改善は徐々に行われており、この先も整備されていくことが予想されています。こちらのドクタービジョンという転職支援サイトに掲載されている医師求人を見ていてもそれが分かっていただけるでしょう。求人の選択肢を増やしたいのであれば中央部付近から、好条件の医師求人を見つけたいのであればそれ以外のエリアからと棲み分けされています。

また、診療科が豊富にある東京都でも産科や小児科、内科、外科などは不足しがちです。こういったニーズの高い診療科をいかに整備していくかも、東京都の医療における課題といっていいでしょう。